都条例のアレに関して

どうスケジュールを切ってみても記事を書くのに充てる時間が確保できないために、都条例改正案や表現規制関連の記事は書かずにおこうと決めたのだが(そんな時間があるなら議員に対して働きかけたほうがいいと思ったし)、今、私は非常にいらついていて、心情を吐露でもしないかぎりは自家中毒を起こしてしまいそうなので今の気分を記しておこうと思う。正直、ここまで胸糞悪くなったのは久しぶりで怒りで手も震えている始末なので支離滅裂な文章になるかもしれない、というか、なった。



私をいらだたせたのはこのニュースだ。
「しずかちゃんの入浴」「ワカメちゃんパンチラ」はOK 2次元児童ポルノ規制条例で東京都
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/100426/crm1004261824023-n1.htm



時間の経過とともに消えてしまう可能性があるので記事を引用する。

 「しずかちゃんの裸はOK−」。子供の性行為を描く漫画など「2次元児童ポルノ」規制に向け、東京都が可決を目指す青少年健全育成条例の改正案で、都は26日、都民らから多数寄せられた質問25問と都側の見解をまとめ、都HPに掲載した。

 規制対象“外”の一例として、「ドラえもん しずかちゃんの入浴」「サザエさん ワカメちゃんのパンチラ」「新世紀エヴァンゲリオン レイやアスカのヌード」といった具体例を列挙するなど踏み込んだ内容となった。

 「改正案質問回答集」によると、「『表現の自由』の侵害ではないか」との懸念には「(規制対象となる作品を)創(つく)ることや出版すること、18歳以上が買ったり見たりすることはこれまで通り自由だ」とし、定義が曖昧(あいまい)と批判された「非実在青少年」について「年齢、学年の明確な描写やセリフ、ナレーションで明らかに18歳未満に設定されているキャラクター」と規定した。

 一方、規制対象は「いわゆる『エロ漫画』のうち、子供との性行為がメーンとなっているもの」。「(非実在青少年の)悪質な性行為シーンを『売り』にしたものに限られ、(近親相姦や婦女暴行といった)通常の子供が経験する性交と明らかに別物」とし、性交や類似行為の種類についても「性交はセックス。類似行為はフェラチオ手淫、アナルセックスなど」と明記した上で「裸の2人が折り重なる」などの性交を示唆する描写は対象外となるとした。

 このほか、小説を規制対象としない理由を「小説はその表現に用いられる言葉がさまざまであり、それを読んだ人の年齢、性別、経験、読解力などにより、とらえ方や感じ方が千差万別で、絵のように一律・具体的・客観的な印象を与えるものとはいえない」と説明。また、コミックマーケットでの販売には「個人の趣味の範囲でのやり取りで、同人誌ショップとは違い『青少年に販売しないよう自主的に取り組む』対象とはならない」とする一方、「販売会の主催者には条例の趣旨を理解し、子供への販売には適切に対応するよう協力を願う」とした。

 都は「あまりにも問い合わせが多く、継続審議となり都民への周知が不十分だったとの指摘もあった。条例の文言にこだわらず、分かりやすい表現に努めた」としている。

私がこの記事を読んで感じたことは、「物知らずな子供は大人が導いてあげなきゃ」という傲慢さだ。
そして、子供のことを考えるふりしてそのくせ、現実の世界で性的に搾取されている子供はイレギュラーであって、そんな少数派よりも大勢の子供を「健全」に育てることに力入れたほうがいいですよね?という、現実の犠牲者をナチュラルに無視しくさった目線も感じるのである。



そんなのは考えすぎだ、と言われるかもしれない。
しかしGoogleで、「被害にあった都内在住の子供のつもり」になって検索をかけてみてほしい。Yahooでもいい。子供がリアルでそういうめに遭遇したときに相談できる、東京都公営の機関への情報へと簡単にたどり着けるだろうか。



「東京 性的虐待 相談」のGoogle検索結果1ページ目はニュースが主体、かろうじて一件のみ、民間団体のリンク集がひっかかった。
「公営 シェルター」のGoogle検索結果1ページ目は犬猫ネタが主。
性的虐待 相談」では実話系の記事、「教えて!goo」などの相談サイト、それからニュース。
「東京 相談 父」では、相談サイトで虐待相談所はどこかを聞く高校生のポストが一件見つかった。(しかしそれは性的被害ではなかったが。



「東京 相談 痴漢」だと、一番トップに警視庁のホームページが出るっていうのに、性的虐待となるとこのおそまつぶりである。



都営、市営の機関は保健所すらひっかからない。
「東京都 ごみ」で検索すれば一番最初のページに公的なサイトがずらりと並ぶレベルのSEO対策が出来るのに、この状態はなんなのだ?



それは、子供を性的に搾取する存在というものやシチュエーションが、特殊な、珍しい、例外的なものとして考えられているからではないのだろうか。だから、後手に回ってしまう。子供の性が危険と言われて、目につくところにあるえろまんがを見て、こんな破廉恥なまんがを子供が見たら大変だ、危険だ、と、なってしまう。実際の被害者のことなんか思いつきもしないのじゃないか。



子供を性的に搾取するのは見知らぬ変態よりも身内の方が圧倒的に多数という統計が出ているというのに、けしからんまんがを取り締まれば子供の性被害が減るなんて本気で思っているのだろうか。
実は「子供のため」を思って言っているのではなく、「俺が、私が不快だから」ではないのか。「えろまんがを読むマセた子供の存在が不快だから」ではないのか。「子供には清く、純真無垢でいてもらいたい」と思ってはいないか?




私の抱えている昔話をする。




一応フラッシュバック注意と書いておく。
ま、極力ピンクなことは廃して書くからおかずにはなりそうにもありませんよ。
身バレするのは嫌なのでソフトなフェイクは入れさせてもらった。
なにせ私の田舎ときたらひどく鄙びたところであり、御近所づきあいが絶対なところがあるんでちょっとの保身は勘弁してほしい。



で、だ。
私がいたずらされたのは確か十歳の時だった。いや、九歳だったか。相手は十五歳。あるいは十四歳。隣の家に住んでいて、昔から家同士の付き合いがあった   とかいう典型的なアレだ、オオカミどもが狙うのは自分に懐いていて秘密を口外しそうになく自分よりも弱くて馬鹿で万一抵抗されても命の危機なんて感じない相手、っていう説をどこかで見たけど、私と彼はまったくその通りの関係性だった。私は幼児のころからずうずうしい性格で、よたよたながらひとりで歩けるころには隣家に行けば可愛がってもらえるということを学習したらしく、自分の親に行き先を告げもせずに居なくなる時は大抵勝手に隣家にあがりこんでいて甘いおやつを与えられて恵比須顔だったという…覚えてないが。六歳だか五歳だか年の離れた隣家の彼にはおしめをかえてもらったこともあるらしい…覚えてないが。



覚えているのは今日はちょっと違う遊びをしようといわれてホイホイついていった先でされたこと   の詳細は書くつもりない。リアリティ皆無だそんなのは嘘だと思うなら嘘だと思えばいい。されたことの詳細はこの記事の本題ではないからはしょらせていただく。けったくそ悪いことにこれからさらにリアリティの無い展開になるわけだが事実は事実だし少し主題にかするので言うが  私はその遊びが嫌ではなかった。  なかよしのおにいちゃんとないしょのごっこあそびしてもらったぐらいに思っていたわけだ。ギャングごっこだか火サスごっこだか、ごっこ遊びの名前は忘れた。手足縛られて目隠しされて口にガムテ張られて痛いことまでされてなにのほほんとしとんねんボケ、と、思い返すたび過去の自分に全力で張り手をくらわしたくなるのだが当時の私は恐ろしいくらい無知だった。



そのごっこ遊びの意味を知ったのはそれから一年少しあとにオープンした、近くの図書館にあった手塚治虫ブッダ夢枕獏の小説や後宮物語や炎の蜃気楼読んだりしたからだった訳だが。



何を言いたいのかといえば、小学校の図書館には置いていない本を読んで初めて知った訳である。



一般的には耳年魔だといわれる女子にしてはちょっと物知らずすぎるんじゃないかと思われるのではないかと思うが、当時、私の住んでいた地区には本屋が無く、最寄の本屋まで行くには車に乗って40分ばかりかかるという僻地で、軽い活字中毒だったくせに本の入手先は小学校の図書室と家で購読している新聞という、ゾーニングがばっちりされた媒体にしか晒されていなかった。小学校で行われたそういう教育はといえば、小5の時に保健室に女子が集められてお赤飯関係の講義を受けたことくらいしか記憶にない。ひとのおしべとめしべにまつわる話は私の記憶から抜け落ちている……、そもそもそんな話すらされなかったのかもしれないと思う。



大人は誰も、なにも教えてくれませんでした。
多分、それは善意からだと私は思っている。
あるいは、大人になったら自然にわかることだから、と、なあなあにした結果。



小学校3年の時にはクラスで東京大学物語最終兵器彼女をこっそり回し読みしていた、楽しかった、今でも好きだ、という後輩女子の話を聞いてそのとき私は思ったんですよ、
もしも、昔の私が、そういう描写のあるまんがなり文学なりに親しんでいたら。行為の意味を知っていたら。大人の言う「遊び」には子供の考える以外の意味が含まれることを知っていたら。人間にも「さかり」があると知っていたら。遊びの誘いなんかにホイホイのらずに断ることが出来たんじゃないか。



現在も、ものしらずが故に搾取されている子供がいるんじゃないか。



予想するが。
そういう教育は学校でちゃんとした正しい知識を教えるべきという意見が出ると思う。
また、そういう教育は各家庭にまかせるべき、という意見も出ると思う。
どちらもごもっとも、正しい知識を存分に子供に教えればいい。
しかしそれだけでは不十分だと私は思う。
繰り返すが、不十分だ。
世の中には「きれい」な学校や「きれい」な家庭ばかりではない。そもそも最も多く敵が潜んでいる場所は家庭なのだし、淫行教師のニュースだって毎年のようにわいてくる。勇気を出して役所の窓口に相談しにいっても「気のせい」なんて一笑にふされる子供だっているわけだ。全て家庭に任せたり、全て学校に任せるなんて、そんなことは「ババをひいたらそこで終了、あとは運命を呪ってください」と言っているのと同じである。



私は規制には反対だ。
危惧しているのはコムストック法の再来だ。
青少年に有害な情報として規制されたものの中には、堕胎や避妊に関するものも含まれていたという。
産児制限の運動家までも避妊法のビラを撒いた罪だったかなんだったかでしょっぴいて牢獄にぶちこまれたという話である。
現代日本で堕胎や避妊に関することまで規制なんてされないよおおげさな、と、言う人がいると思うが、伝え聞く現代のカナダのありさまがまったく人事に思えない。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A9%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%AB%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%95%E3%82%A7%E3%83%9F%E3%83%8B%E3%82%BA%E3%83%A0#.E3.82.AB.E3.83.8A.E3.83.80



都条例では、具体的な作品名を挙げて「これは規制の対象にはあたらない」と言っているが、冒頭に引用したニュース内で規制される対象の例として「(近親相姦や婦女暴行といった)通常の子供が経験する性交と明らかに別物」なんて噴飯物の記述が出てくる時点で私の答はNoである。子供が被害にあうときに一番多いケースは近親姦である。仮に、この表現を規制するとしよう。条例の本文中には「漫画だけ取り締まる」なんてことは書かれていない。もしも、この条文が生きているままで、末端の役人の解釈が変わってしまったら。あるいは、漫画だけではなく、ネットのフィルタリングを強化しよう、という話になって、子供が近親姦やセックスに関する情報にアクセスできなくなってしまったら。



それは、子供が、自分ですら、自分の身を守ることが出来ないということなんじゃないか?



痴漢が狙うのは反抗しなさそうなおとなしい見た目の女性と言う。
これは私の体験から言う、色眼鏡もいいところの意見だが、子供に手を出す連中もおんなじだ。
奴等は子供が馬鹿だから、何も知らないから、ちくらないと思っているから、つまりは反抗しなさそうだから手を出す。



知っている、ということは、それだけで武器だ。
腕力では絶対に、子供は大人にかなわない。
だからその知識すら奪いかねない規制に、一度転がり始めたらどこまでも拡大解釈が出来てしまいそうな規制に、私は賛成することはできない。



効果がどれだけあるかも統計的にわかっていない規制なんかをするよりも、都はもっと他にやるべきことがあるんじゃないのかと、ほんとうにそう思う。役人が点数稼ぎやってる場合じゃねーんですよ。